コラム
ここには、当サイトの本編では十分にお伝えしきれなかったことや、トラウマやPTSDの理解に役立つ関連情報をお伝えしていきます。
あなたの関心に合うものが見つかったら、幸いです。
自分自身を大切にする
身近な人が命に関わるような大変な出来事を経験することは、周りの人にも影響を与えます。大切な人に起きたことを知りショックを受けたり、出来事の前との変化に傷ついたりします。自分が無事でいることに罪悪感を覚えたり、楽しむことを「自粛」しなくてはいけないと感じる人もいます。しかし、実はあなた自身を大切にすることが、大切な人をうまく支えるために必要なことなのです。
大切な人が傷ついている傍らで、自分の都合を優先することは自己勝手だと捉えたり、自分のケアが後回しになることは、よくあることです。しかし、トラウマを抱える人、特にPTSDに苦しんでいる人を支えることは、多くの時間とエネルギーを必要とします。あなた自身が健康で、満たされている状態でなければ、うまく支えるためのエネルギーが足りなくなってしまうかもしれません。一方で、あなたが自分を大切にする習慣を身につけ、忘れずに実行することで、身近な人を安心させたり、お手本になったりすることができるかもしれません。
何が「自分自身を大切にする」ことになるのか、その方法は人それぞれ異なります。あなた自身がどう感じるか –– 心地よいと感じるか –– を手がかりに、自分にしっくりくる方法を探してみるとよいでしょう。
米国の国立PTSDセンターによる「PTSDを理解する:家族と友人のためのガイド」では、次の5つを勧めています。
自身の健康管理を心がける
十分な睡眠、定期的な運動、バランスの取れた食事は、ストレスを管理し、健康を維持するために役立ちます。治療やケアを受けている人は、診察予約も忘れずに行いましょう。
好きなことを続ける
エネルギーを充電することは、大切なことです。自分の好きなことをする、気の置けない相手と一緒に時間を過ごすなど、楽しみを持つことを大切にしましょう。
自分自身の境界線を設定する
自分ができることの範囲を、現実的に見極めることは重要です。例えば、あなた自身に休憩が必要な時、そのことをどう伝え、その間のサポートをどうすると良いか、大切な人と話し合って計画を立てましょう。友人に連絡をとる、相談窓口に連絡するなど、サポートのためのさまざまな方法を見つけておきましょう。
自分の状況を話す
あなた自身を支えてくれる相手とつながっていることも大切です。身近な家族や友人は、よい相談相手になってくれるかもしれません。同じような経験をしている人々と話せるサポートグループを探して、参加してみるのもいいかもしれません。
カウンセラーや治療者への相談を検討する
話を聴くことやこころの治療の専門家は、友人には話しづらい感情、例えば、深く長く続く悲しみや、行き場のない怒りといった感情とつき合っていくのを支えることができます。また、大切な人とのコミュニケーション方法など、他の課題に取り組む手助けも可能です。もしあなたが、そういった支援を必要としているなら、取れる選択肢があることを覚えておいてください。
参考文献
文:髙岸百合子